頚椎椎間板ヘルニアの入院期間は?
ここでは、頚椎椎間板ヘルニアの治療や手術に関わる入院期間について、手術方法ごとの特徴や目安期間などを解説しています。
頸椎椎間板ヘルニアの入院期間は手術法によって異なる
頚椎椎間板ヘルニアの術後の入院期間は、選択する手術法や症状の程度、患者の体質などによっても大きく左右され、一概に断定することはできません。
しかし、手術法ごとの違いや入院期間の目安を知っておけば、治療後のライフスタイルなどを考える上で役立ちます。
頚椎椎間板ヘルニア手術 | 麻酔方法 | 歩行開始時期 | 入院期間 |
---|---|---|---|
目視下切開手術 | 全身麻酔 | 1~3日後 | 2週間程度 |
顕微鏡下手術 | 全身麻酔 | 1~3日後 | 2週間程度 |
内視鏡下手術 | 全身麻酔 | 当日~1日後 | 1週間程度 |
BKP手術 | 全身麻酔 | 1日後 | 3~7日程度 |
PLDD手術 | 局所麻酔 | 当日 | 1泊2日(場合によっては日帰り可) |
目視下切開手術
文字通り、執刀医が目視で患部を確認しながら手術を行う目視下切開手術では、患部を確認するために切開範囲が広くなり、患者への負担は大きくなりがちです。
そのため、手術は全身麻酔を用いて行われ、術後には痛みなどが生じることもあるでしょう。また、入院期間も必然的に長めになります。
顕微鏡下手術
顕微鏡によって患部を確認しながら行う顕微鏡下手術は、目視下切開手術よりも切開範囲や出血量などが少なくてすみ、患者への負担も軽減されます。
ただし、手術後の入院期間などについては、目視下切開手術と比べてやや短いともされるものの、劇的な違いはありません。
内視鏡下手術
顕微鏡下手術よりもさらに切開範囲が少なく、患者への負担が少ない手術が、内視鏡を用いて行われる内視鏡下手術です。
内視鏡下手術では、患者によっては手術をした当日から歩行を再開することも不可能でなく、手術期間も1週間程度と、目視下切開手術や顕微鏡下手術よりも短いことが特徴です。
ただし、内視鏡下手術は医師の技量や病院の医療設備によって成功率が大きく異なるので、きちんとした実績や技術を持っている病院・専門医を選ぶことが欠かせません。
経皮的椎体形成術(BKP)
病院によっては、椎体の変形が見られる患者などに対する固定術の1つとして、風船(バルーン)を利用した経皮的椎体形成術が行われることもあるでしょう。
BKPは、全身麻酔をした上で患部周辺を小さく切開し、細い針を皮膚の下へ差し込んで、その針を介してバルーンを椎体内へと挿入します。そして挿入した風船を膨らませて、椎体を持ち上げ、椎体高を回復させます。
BKPでは、バルーンによって一時的に椎体を拡張した後、医療用セメントを椎体へ充填することで補強し、椎体機能を安定化させることが可能です。
ただし、椎体の変形の程度によっては、セメントによる補強でなく、インプラントを用いた矯正固定術が必要となることもあります。
PLDD手術
PLDDは軽~中等度の椎間板ヘルニア患者に対して、局所麻酔下で細い針を患部周辺の皮膚に刺し、その針を介してレーザーファイバーによるレーザー治療が行われる、低侵襲な手術です。
手術時間が短い上に、そもそも局所麻酔による手術であるため、入院期間は1~2日間と圧倒的に短く、場合によっては手術をしたその日の内に退院できる「日帰り手術」も可能です。
そのため、患者への負担や入院期間だけを見れば、PLDDが最も患者にとってメリットの多い手術法であるといえるでしょう。
ただし、PLDD手術の実施には、レーザー手術に必要な専用の医療器具に加えて、何よりもPLDD手術を可能な医師の技術レベルが必要になります。
そのため、全ての病院で気軽に受けられないという点は、頚椎椎間板ヘルニアの入院期間を少しでも短くしたいと望む多くの患者にとって、見過ごせないデメリットといえるかも知れません。
頚椎椎間板ヘルニアの入院期間についてのまとめ
- 低侵襲な手術ほど入院期間は短くなる
- 高度な手術の実施には専門医の技量や専用機器が必要
- 同じ手術法でも患者によって入院期間は異なる
頚椎椎間板ヘルニアの手術後の入院期間については、まず原則として、患者への負担が少ない手術であればあるほどに、入院期間も短くなるということが重要です。
しかし、一方で高度な低侵襲手術を受けるためには、そもそもその手術を行っている病院や専門医への受診が欠かせません。特に、入院期間が短くて済むとされる内視鏡下手術やPLDD手術などの場合、安全・確実な手術の成功には、専門医の高度な医療技術が必須であり、その病院や医師の実績や医療レベルについて事前にチェックしておくことが大切です。
また、同じ手術法であったとしても、患者の体質やヘルニア症状の程度、術後の経過などによって入院期間が前後することは珍しくありません。
入院期間は、退院後の生活や仕事・学業などへの復帰時期などにも大きく関わってくる内容なので、信頼できる専門医へしっかりと相談・確認するようにしましょう。